子どもが言葉を覚えるまでの道のりは?

子育て

スポンサーリンク
▼小学生から始められる留学|U-GAKU▼

子どもは言葉をどうやって覚えるか?

母国語を覚えるメカニズムに関する科学的研究は非常に多岐にわたりますが、主な要素として以下の点が挙げられます。

脳の発達

乳児期における脳の急速な発達が、言語習得に重要な役割を果たします。

特に乳幼児期に言語発達のピークがあると言われ、この時期に言語環境が豊かであるほど、言語能力の発達が促進されます。言語の基礎的な習得は、生後数か月から6歳までの間に最も活発に行われます。

聴覚障害があった場合は、脳の可塑性(可塑性とは変化しやすい性質、すなわち環境に応じて脳の構造と機能が変わる能力のこと)がある生後6ヵ月頃までに発見し、遅れることなく支援を開始するのが望ましいとされています。

聴覚障害の発見や支援が遅れると、言葉の遅れにつながる可能性があります。早くから音声の刺激が入ることが言語発達に重要であることがわかります。

ここで乳幼児期の脳の発達についての文献を紹介します。1984年にInfant Behavior and Developmentに掲載された論文です。

The present work was designed to (a) determine the generalizability of such a decline by comparing adult English, adult Salish, and English infant subjects on their perception of a new non-English (Salish) speech contrast, and (b) delineate the time course of the developmental decline in this ability.

Janet F. Werker. Cross-language speech perception: Evidence for perceptual reorganization during the first year of life. Infant Behavior & Development. 2002;25:121–133

「(a) 成人の英語、成人のSalish語、および英語の乳児の被験者を対象に、新しい非英語 (サリッシュ語) の音声対比の認識を比較して、このような低下の一般化可能性を判断し、(b) この能力の発達的低下の経時的変化を明らかにすることを目的として設計された」研究です。

In summary, these experiments provide strong support for the claim that young infants can discriminate many of the phonetic distinctions used across natural languages without relevant experience, and that there is a decline in this ability as a function of specific language experience. Furthermore, these experiments provide data showing that this decline may be evident by the end of the first year of life.

Janet F. Werker. Cross-language speech perception: Evidence for perceptual reorganization during the first year of life. Infant Behavior & Development. 2002;25:121–133

彼らは「要約すると、これらの実験は、幼児は関連する経験がなくても自然言語で使用される多くの音声的区別を識別でき、特定の言語経験の関数としてこの能力が低下するという主張を強力に裏付けています。

さらに、これらの実験は、この低下が生後 1 年の終わりまでに明らかになる可能性があることを示すデータを提供します。」と報告しています。

子どもの英語教育に関して『早期から始めるべき』という声をよく耳にしますが、こうした意見は、早期の言語環境が脳の発達に及ぼす影響を裏付ける科学的根拠に基づいているのです。

社会的相互作用

子供が周囲の人々との相互作用を通じて言語を学ぶことが重要です。

親や保護者との話し合いや遊びを通じて、子供は言語の音、リズム、文法構造を学びます。

The high-SES children grew more than the mid-SES children in the size of their productive vocabularies. Properties of maternal speech that differed as a function of SES fully accounted for this difference.

Erika Hoff. The Specificity of Environmental Influence: Socioeconomic Status Affects Early Vocabulary Development Via Maternal Speech.Child Development. 2003;74(5):1368-1378.

Erika Hoff(2003年)は「高 SES の子どもは、中 SES の子どもよりも生産語彙が大きく増加しました。SES に応じて異なる母親の話し方の特性が、この違いを完全に説明しました。」と報告しています。

SES:socioeconomic statusとは社会経済状況のことです。

単に言葉を投げかけるだけではなく、言葉のやり取りの仕方や話し方が重要なのです。

模倣と繰り返し

子供は周囲の大人や他の子供たちの言葉を模倣し、繰り返し使うことで言語を習得します。

このプロセスは、言語の音声パターンや意味を理解する上で不可欠です。

言わずもがな、繰り返しと模倣は、言語のみならず、音楽・スポーツ・学問に至るまで多くのスキル習得において重要な役割を果たします。

スポンサーリンク

まとめ

子どもに早くから言語(英語)の音を聞き流しさせることは科学的にも根拠のあることといえます。

音・言語の聞き分けは早いうちから音の刺激を与えることが影響しますが、その後継続してより良質な言葉によるやり取りをすることが言語発達にさらに影響を与えるということがわかります。

音を聞き流すことも重要ですが、やはりただ音源を聞き流しさせておけばいいというわけではないということですね。

スポンサーリンク

引用文献

  1. Janet F. Werker. Cross-language speech perception: Evidence for perceptual reorganization during the first year of life. Infant Behavior & Development. 2002;25:121–133
  2. Erika Hoff. The Specificity of Environmental Influence: Socioeconomic Status Affects Early Vocabulary Development Via Maternal Speech.Child Development. 2003;74(5):1368-1378.
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
子育て
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
rinをフォローする