スタートアップ設立の落とし穴を解説!【税理士に頼む前にやるべきこと】

起業

今回は、会社の作り方を説明してみようと思います。

最近は子どもが起業することもあるらしい…

筆者は会社員時代に友人数人とスタートアップ企業を立ち上げました。その経験をもとにスタートアップ設立時に注意する点についてまとめます。

スタートアップ企業(ベンチャー企業)を立ち上げたい人

起業したいけどその手順がいまいちわからない人

漠然と、起業するってどいうこと?という人

そんな方々に読んでいただきたい記事です。

会社にもいろいろな種類がありますが、ここでは投資家から資金調達をして上場を目指す、いわゆるスタートアップ企業(ベンチャー企業)を創業することを想定します。

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税理士や司法書士に行く前にやるべきこと

税理士や司法書士が説明する企業の方法では、定款作成や登記書類の書き方の説明から始まりますが、本当に大事なのはそれより前、創業株主の構成です。

これは一度決めてしまうと後から変更することがとても難しく、また揉め事の種になります。

しかし税理士さんたちは「株主構成は決めてから来てくださいね」というスタンス。資金調達時に株主構成で苦労して失敗した例をよく聞きます。

このページでは手続きに至る前に注意すべきことを説明して、資金調達で失敗しないようにしていただきたいと思います。

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会社の作り方の教科書は存在しない

ベンチャー企業の作り方の教科書は世の中に存在しません。

それは正解がないからです。それぞれの会社の状況が違うので、ある会社でうまく言った方法が、ほかの会社でうまくいかないことはよくあります。ですので教科書が書けないのです。

しかしそういわれても困ってしまいます。私も困りました。一度創業すると、こうすればよかった、ああすればよかった、という反省が出てきます。それをもとにこのページを作成しました。

正解がないなりに、「何に気を付ければよいか」を中心にまとめましたので、ご参考になれば幸いです。

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ビジネスのアイデアを見つける

まずはビジネスのアイデアを探してください。頑張ってください。

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弁護士を探す

弁護士が必要な理由

最初は必要ないだろう、と思われるかもしれませんが、相談相手がいた方がよいです。特に2人以上で操業する場合は創業株主間契約を結ぶことになりますので、必ず弁護士を探してください。

弁護士は「将来災いが起こらないように事前に相談する」方です。「災いが起きてから相談する」のでは、もう遅いのです。特に会社創業時の契約書や体制づくりは後々まで残りますので、ぜひ相談されてください。

上場までの間に必要な弁護士は2通りです。

  1. 普段の契約(売買契約、貸借契約)などをチェックする弁護士。
  2. 投資契約のチェックや上場に向けた既定のチェックや体制構築などをお願いする弁護士。フィー(報酬)が高め。

創業時に必要なのは1の弁護士だけで、2の弁護士は不要です。2の弁護士については、VCとの投資契約が近いと思ったら、弁護士さんに対応可能か聞いてみましょう。対応できなくても誰か紹介してくれるかもしれません。

弁護士の探し方

弁護士を探す場合、なるべく「スタートアップを経営している知り合い」に紹介を頼むことが一番です。弁護士にも得手不得手があるので、同じ経営者目線から紹介された方が最も良いと思います。法曹に詳しくないご友人に紹介を頼んで離婚専門の弁護士を紹介されたりするといろいろ面倒ですから。それでもどうしても見つからない場合だけネットで探すことをお勧めします。

私は最初にネットで探したのですがよい方が見つからず、時間を浪費しました。

弁護士探しの失敗談

私の失敗談をお話しします。最初のころ、ネット検索でスタートアップ専門弁護士という事務所を見つけたのですが、「創業時はお金がないでしょうから無報酬で構いません。ただし株式の20%をください。株価が上がるように上場までお付き合いします。」と言ってきました。私も無知だったので「そんなものなのか?」と思わないでもなかったのですが、念のためほかの弁護士事務所に行くと、「それは絶対にやめた方がよい」と言われました。あなたの会社の時価が100億円になったら、弁護士の手にする株式価値はざっと20億円になります。割に合いません。(実際には第三者割当増資で株式比率はもう少し目減りします)。また弁護士に20%渡すと、VCが30%持った時に自分の持ち分が過半数を割ることになって、経営権を奪われる可能性もあります。(これは倫理的な問題がありそうなのでやらないとは思いますが、可能性はゼロではありません)

株式はあなたの会社と利益を守る砦です。軽々に渡さないようにしてください。

信頼できるはずの弁護士ですら、このように足元を見てくる人がいます。信頼のおける方からの紹介であれば、おかしな弁護士に当たることは少ないはずです。

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資本金を決める

資本金は当面の会社の運転資金になります。会社の運転資金にいくら必要か見積もって、資本金を決めてください。運転資金は当面の間、主に次の用途に使います。

  • オフィス賃料
  • デスク・PC等購入費
  • 役員報酬・社員給与
  • 社会保険料
  • 士業への委託費(弁護士、税理士、社労士など)
  • 仕入費

もう一つポイントがあります。資本金が1000万円未満(1000万円を含みません)の企業は開業した年は消費税の納付を免除される可能性があります。他にも条件がありますので、必ずご自身の税理士に確認してください。

例えば消費税10%として、1万円(税抜)で仕入れたものを3万円(税抜)で売るとします。仕入れ時には販売業者に消費税を1千円支払い、お客様からは3千円の消費税を頂戴します。会社は年度末に差額(3千円-1千円)の2千円分を国庫に納めることになります。消費税免除対象事業者は、この差額分(2千円)の納付を免除されます。この差額は結構大きいので、ぜひ活用してください。

さらに最初に用意する金銭のうち半分は資本準備金に回して、残り半分を資本金とすることが可能です。つまり、1998万円用意して999万円を資本金、999万円を資本準備金に回すことができます。そうすると消費税免除事業者でありつつ、運転資金は1998万円確保できます。

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創業株主と株式数を決める

何人で会社を興すか決める

1人で創業する場合

決めることはありません。1人で100%持ってください。

2人以上で創業する場合

誰が株の何パーセント持つかをよーーーーーーーく議論してください。この人とは天国まで(または地獄まで)一蓮托生だ、と思って創業してください。

一度決めた株式比率は基本的に変更できません。

変更したい場合は、資金調達の前であれば株主間で株の売買が可能です。しかし会社がうまくいき始めると、誰もが株を手放したくなくなりますので、喧嘩になる可能性があります。

またベンチャーキャピタル(VC)などから資金調達(第三者割当増資)をしてしまうと、株価が一気に高騰して、譲渡代金が何億円にもなってしまいます。そうなると当人同士が納得していても、実際には売買できません。

「VCの値付けは1株100万円だったけど、友達同士だから創業時株価の1株1万円で譲るよ」なんてことは絶対にやめてください。この場合1000株譲渡すると、差額の99万円×1000株=9.9億円分が贈与として扱われる場合があります。その場合は贈与税(最大55%)の対象になって、単純計算で税額は5億円を超えます。せっけく上場して儲けたのに大半を税金で持っていかれた、なんてことになりかねません。このような税金に関するリスクを「税務リスク」と呼びます。気になることがあれば税理士さんに相談してください。

株式の保有比率と、できることは次の通りです。

  • 過半数を所持していると、たいていのこと(株主総会での普通決議)は自分で決められる(株主総会での普通決議)。
  • 3分の2以上持っていると、すべてのことを自分で決められる。(普通決議+特別決議)
    • 特別決議では会社の売買、定款変更などが可能です。
  • 3分の1以上持っていると、特別決議への拒否権がある。

これを前提として、ポイントは次の2点です。

① 資金調達の後に取締役会(or 創業株主)で3分の2以上の株を持ち続ける。

投資家から資金調達すると、株式を割り当てることになり、創業者の株式比率が下がります。

取締役会で3分の2以上持ち続けられるようにするため、創業時は取締役がなるべく多くの株を持つようにしてください。

資金調達の状況は会社によって変わりますので、何パーセントならOK、という正解はありません。多い方がリスクが低くなります。

目安としては80~90%以上を社長1人で持つことが多いですが、1人に集中できない事情があるなら、重要な人物や取締役で80~90%というのも一つの目安です。

② 議決権が50:50になって会社運営がストップすることを防ぐ

決議の賛否が50:50になると会社がストップします。これは全員にとって不幸です。

いまは「僕らは友達だから話し合いで解決できるから大丈夫」と思うかもしれませんが、しかしこういう事態は、往々にして悪いことが起きた時に起きますので、話し合いで解決できないことがあります。

そうなるとにっちもさっちもいかずに会社を解散せざるを得ない、ということになりかねません。繰り返しますが、これは全員にとって不幸です。

例えば2人の場合には51:49にしておく方が安全です。(ただしその場合51%の人に決定権が与えられてしまうので、よく話し合ってください。)

資本政策

 創業後の資金調達と株式発行数を予想して戦略を立てる必要があります。これを「資本政策」と言います。

非常に重要ですので、一度計算してみてください。と言いたいのですが、資本政策の計算には資金調達額の計算に加えて、企業価値の見積もりが必要で、初めて起業する人にできるものではありません。私もどうしてよいかわかりませんでした。(設立してすぐの企業に価値なんてないでしょ。2000万円くらい?とか平気で思っていました。実際は数億円とか数十億円になっても不思議ではありません。)

一方で、あなたの会社のことはあなたにしかわからないので、他の人にもできません。

つまり、誰にもできません。

結論から言うと、大雑把な数字を入れて心づもりをしておく、くらいのことしかできないのです。

しかしこの「心づもり」の有無が今後の経営を左右します。適当でいいので数字を入れてみて、「すっごくうまくいったらこんな感じか。億万長者だ。」「ダメだったらこうなるのかな」みたいに遊んでみてください。「うまくいくためにはこうしなければいけないのかな」というのが見えてきます。

一つの目安ですが、典型的な例では1回の資金調達で投資家に渡す株式比率が10~15%になっているようです。

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創業株主間契約を結ぶ

契約の目的

この契約は非常に大事ですので、先だって見つけておいた弁護士に相談して、契約書を作成してください。登記前に済ませることは絶対必要とは言いませんが、なるべく早く締結してください。

この契約の目的は、「誰かが勝手に株を売らないようにする」ことです。株を勝手に売られると前項の資本政策に影響が出て、取締役会の議決権が減る可能性があるので、勝手に売ってもらっては困るわけです。

1つ目の目的

さらに最大の目的は「反社会的勢力に売らないようにする」ことです。反社会的勢力が株を保有している会社は上場できませんので、反社に株が渡ってしまったら上場の前に買い戻す必要があります。しかし当然、反社は足元を見て法外な値段を吹っかけてきますので、現金が用意できずに上場失敗になる可能性があります。

本人に悪気が無くても、「信頼していた恩人に株を売ったら、その人が亡くなって子供にわたり、その子供が借金を抱えていて反社に株が渡ってしまった」みたいなこともあり得ます。ですので基本的に「株は原則として上場まで売らない。万が一売る場合は創業者全員の合意を得る」という内容を書きます。

2つ目の目的

また、2つ目の目的として「何らかの理由で取締役を離任するときに、保有株式を会社に売る」という条項を付けることも多いです。これは次の事態を防ぐためです。

  • 株を保有したまま離任すると、取締役会の議決権が減ってしまう
  • その人が競合他社に就職した場合、競合企業が議決に参加することになる

いずれも影響が大きいですね。創業株主間契約を結ばず、離任するときになって「株を手放してよ」と言っても、当然ですが将来何億円にもなる株を手放す人はいません。必ず創業時に契約書を締結しておく必要があります。

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オフィスを決める

会社が軌道に乗るまでは、オフィスは簡易なもので済ませて、出費を節約しましょう。毎月出ていく固定費で、年間100万円くらいにはなるので、可能なら自宅で作業したり、シェアオフィスなどを活用してください。

ただし登記する際に会社の住所が必要になります。自宅を登記するか、登記可能なシェアオフィスやバーチャルオフィスを活用しましょう。

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【税理士に行く前にやるべきこと】まとめ

スタートアップ企業(ベンチャー企業)の作り方についてまとめました。

  • アイデアを探す
  • 弁護士を探す
  • 資本金を決める
  • 創業株主と株式数を決める
  • 創業株主間契約を結ぶ
  • オフィスを決める

ここまで進めて、ようやく税理士を探しに行きます。

それではここから後の流れは次のページで解説します。

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